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九州未乗路線踏破の旅

土木工学専攻 M2 那須 広孝

はじめに

 去る2007年8月20日から23日にかけて、JR全線走破を目指す上で最後まで残っていた地域の1つ、九州の未乗路線を踏破してきた。そもそもこの全線踏破を目指そうと思ったきっかけが、当サークルの合宿を何度も経験させていただいたうちにその目処が立ってきたからであるという関係上、ここで報告しないわけにはいかないと思い、この場を借りてご報告させていただく次第である。使用切符は長年お世話になっている青春18きっぷである。なお、旅行した時期から結構な時間が経過してからの執筆となるため、間違った記述も散見されるかと思うが、そこはご容赦いただきたい。



8/20(月) 山陽本線・鹿児島本線・日豊本線

 初日は祖母の住む宮崎県日向市へ向かうのみで、新規に乗車する区間は無い。しかし青春18きっぷで宮崎に向かうのは久しぶりであった。


1.海田市→新山口 普通 新山口行き 115系

 実家のある広島県の海田市駅から出発。JR西日本広島支社管内の在来線は知る人ぞ知る国鉄型王国。実に90%以上が国鉄型車両である。加えて山陽本線のこの区間は普通列車が延々3時間以上も平気で走っている区間であり、越えるのに一苦労である。しかし私はこの区間を何度も通過しており、慣れもあって難なく通過する事ができた。

2.新山口→下関 普通 下関行き 117系

 山陽本線下関側末端区間には、例の事故の関係でATS-P非搭載の117系が関西地区から転属してきている。115系よりは乗り心地が良い車両なのだが、2ドアである事が災いし、サンライナーを除けば広島・岡山地区での通勤輸送にも対応できないため、下関地区に来ているようだ。ゆったりとした時間を過ごして、下関に到着。下関駅の旧駅舎は放火事件で消失し、現在は仮駅舎での営業となっていた。


117系 下関

	    117系電車 新山口駅にて      下関駅仮駅舎



3.下関→柳ヶ浦 普通 宇佐行き 415系

 下関駅から先はJR九州となり、交直流電車の415系で九州入りする。かつては本州側の新山口から会社を跨いで九州方面へ直通普通列車が走ったものだが、現在では無くなっている。これは東海道線において熱海・沼津駅を乗り通す運用が激減したのと事情がよく似ている。また、未だ新型交直流電車が導入されていない中で、どちらかと言うと主要路線である鹿児島本線側に交流専用の新型車両を優先するため、特に日中の下関からの直通列車は専ら日豊本線系統となっている。その直通列車で関門トンネル、門司駅構内のデットセクションを抜け九州入りする。北九州都市圏はさらっと抜けて、大分県に入り、宇佐駅へ到着。


415系

415系電車 門司駅にて



4.柳ヶ浦→大分 普通 幸崎行き 815系

 ここからは、日豊本線でも普通列車の本数が極端に少ない3区間の一つ、宇佐−杵築間を通過する。1日11往復だが、現状ダイヤでは、広島から始発で乗り継いできた場合うまく接続して先へ進む事ができる。ここは難所とは言え、峠の両側が同じ大分県内なので、後述する宗太郎越えに比べれば幾分状況はましなのであろう。車両は独特の顔つきの815系電車。このようにJR九州は地方線区の普通列車にも積極的に新型車両を入れている。JR東日本や東海はお金があるからと言えるかもしれないが、JR九州の場合はそうではないのだから明らかにエリア全体の活性化を考えての事だろう。こうした心配りが良い。お隣の某会社も見習ってもらいたいところである。左手に別府湾を眺めつつ、温泉地の湯煙が見えてきたら別府に到着。更に別府湾沿いを進んで県都大分へ。このまま乗り通しても良いが幸崎で足止めを食うだけなので、次の延岡行きの列車に乗り継ぐべくここで下車した。


117系 下関

815系電車と717系電車
ともに大分駅にて



5.大分→延岡 普通 南延岡行き 717系

 1時間半ほど待ち、やってきた南延岡行き717系電車に乗り込む。日豊本線も大分までは一部の単線区間を除いて概ね複線であったが、ここからは完全な単線区間となり、行き違いの停車が多くなる。大分都市圏を抜け、海沿いではあるが平地の少ない地形を縫うように走る。佐伯から先はいよいよ日豊本線最大の難所、宗太郎越えにかかる。この区間の普通列車の本数はなんと1日3往復。青春18きっぷ利用者泣かせの区間である。ただし、特急列車は1日13往復走っているので、路線として本当に3往復しか無い岩泉線・木次線・三江線等と比べればましとも言えようか。広島→宮崎方面はこのようになんとか普通列車のみでその日中に辿りつけるが、逆の宮崎方面→広島は3往復に減った影響で不可能となった。秘境駅宗太郎を越え、宮崎県に入る。市街地が見えてきたら延岡着。

6.延岡→日向市 普通 南宮崎行き 713系サンシャイン

 ここからは一気に本数が増える。といっても普通列車が毎時1本、特急列車が毎時1〜2本ではあるが。高速化で110km/h対応となっており、普通列車も結構飛ばす。使用車両も713系サンシャインという特急さながらのシートを備えた車両で、快適であった。今夜は祖母の暮らす日向市に泊まるので日向市駅で下車。かつて細島への日豊本線支線が出ていた駅だったが、路線廃止後に高架化と新駅舎建設が行われ、現在ではその面影は無い。新駅舎は杉を基調とした造りで大変綺麗であった。この日と翌日はこの日向市に泊まった。


日向市駅

日向市駅ホーム




8/21 (火) 日豊本線・日南線・宮崎空港線

 2日目の予定は未乗路線である宮崎空港線、日南線を完乗すること。日向市を拠点としたため、単純な往復となった。

1.日向市→宮崎空港 普通 宮崎空港行き 713系サンシャイン
2.宮崎空港→宮崎 普通 延岡行き 713系サンシャイン

 まずは日向市駅から普通列車で宮崎空港に向かう。平野部で路線が一直線であることから、相変わらず快調に飛ばす。左手には日向灘、照らされる朝日が眩しい。朝ラッシュでもそれほど本数が無いためか、一つの列車に乗客が集中して、終始満員であった。宮崎からはいよいよ未乗の2路線である。接続の関係で、まずは宮崎空港線から取り掛かる。この宮崎・南宮崎−宮崎空港間は特例で普通乗車券のみで特急に乗車できるが、今回は時間の関係で往復とも普通列車利用となった。南宮崎から先が今回初乗車区間である。南宮崎→田吉と一駅だけ日南線を走り、カーブで宮崎空港線に入ったと思ったらすぐに終点の宮崎空港に着いた。田吉は分岐駅ではあるが、特急列車は通過する。航空機の発着時間と合わなかったためか、乗降客はまばらだった。
 次は日南線に乗って志布志を目指すが、田吉で接続する普通列車は無いため、一旦宮崎に戻る。


713系

713系サンシャイン

3.宮崎→志布志 普通 志布志行き キハ40形
4.志布志→南宮崎 普通 南宮崎行き キハ40形

 宮崎から再度南宮崎、田吉を経由して日南線に入る。田吉から先は初乗車である。この日南線は南宮崎−田吉間が宮崎空港線関連で電化されている以外は非電化である。よって今回の旅行では初の気動車となった。しばらく海岸線を走り、日南市に入った辺りで路線は一時内陸の北郷町に向かう。当路線の起点を除く沿線では最大の町、日南に到着する。日南の町で日南駅と中心駅の機能を分け合っている油津駅を出ると再び海岸沿いに出る。宮崎県内だけで完結する路線だと思っていたが、終点の志布志のみは鹿児島県であった。鹿児島県には入ったものの、線路はこの志布志でぷっつり途切れている。かつてはこの先に大隅線が延び、大隅半島を横断して国分まで延びていた。悲願叶って県都鹿児島まで鉄道が通じたにも関わらず、採算がとれず結局廃止されてしまったのはなんとも物悲しい。最後に開業した区間はわずか15年の営業であった。この志布志駅からは先述の大隅線と共に、都城に向かう志布志線も延びていて、当駅は広い構内を有したが、現在は駅自体が移転してこじんまりとした佇まいである。旧駅の場所は広場となっていた。


	キハ40形 志布志駅
キハ40形気動車 志布志駅にて    志布志駅
5.南宮崎→日向市 普通 延岡行き 713系サンシャイン

 翌日は鹿児島方面に向かうわけだが、今夜も祖母の家に泊まるため日向市に戻った。


 
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